申告書の作成は大きく分けて4ステップになります。
ステップ1:総所得金額を算出する
ステップ2:課税総所得金額を算出する
ステップ3:所得税額を算出する
ステップ4:納税額を算出する
各ステップごとに記事をわけて解説していきます。
今回の記事はそのスタートということになります。
所得の計算をしていくには、まず自分の所得がどれに当てはまるのかを確認し、当てはまる所得の計算方法を知る必要があります。
次に総合課税と分離課税の違いをしっていきましょう。
最後に赤字がでる方は損益通算ができるかできないかを確認してください。
これで総所得金額を計算することができるようになります。
確定申告に関してまとめた記事が他にもありますので、あわせて読んでいただくと理解度が上がるかと思います。












申告書作成の全体図
最初に申告書作成の全体像を見ておきましょう。








以上のように申告書の作成は大きく分けて4ステップになります。
今回の記事では、1ステップ目に関して詳しく説明していきます。
「所得」の計算をしてみよう
申告書作成ステップ1ではまず自分の「所得」の種類を知りましょう。
「所得」の種類ごとに計算方法が異なりますので、あわせて確認しておきましょう。
申告書のどこの欄に書き込むかは以下の通りです。
申告書Aを使う方


申告書Aを使って申告する方は①と②に記入していきます。
①収入(必要経費などを差し引く前の金額)を書き込みましょう。
たとえばサラリーマンなどの給与所得者なら源泉徴収票の「支払金額」の欄から転記します。
②「収入金額」から必要経費などを差し引いて計算した所得金額を書き込む。
給与所得者なら源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」の欄から転記します。
申告書Bを使う方


申告書Bを使う方は、①と②の欄に記入していきます。
①収入(必要経費などを差し引く前の金額)を書き込みましょう。
たとえばフリーランスなどの事業を行っている事業所得者ならこの欄に記入することになります。
②「収入金額」から必要経費などを差し引いて計算した所得金額を書き込みましょう。
収入を10種類に分けて所得を計算
まずは、あなたの1年間の収入をまとめてみてください。
ほとんどの方は、給与、年金、事業の収入など、どれか1つ、多くても2,3種類でしょう。
所得税では、それらの収入を10種類に分け、それぞれの性質に合わせて計算方法を決めています。
収入がいくらあっても経費がかさめば、実際の実入りは少なくなってしまいます。
この「収入」から必要経費などを差し引いたのが「所得」、つまり実収入になります。
所得税は、「所得」にかかるもので、この実収入を計算するのが、所得金額の計算の第一歩です。








上の一覧表で自分の所得の種類を確認してみましょう。
例えば、サラリーマンなら給与所得、アパートの家賃収入がある方なら不動産所得を申告します。
一覧表に計算方法もあります。
今後ケース別の記事も書きますので、ご自身でしっかり計算できるようにしましょう。
総合課税と分離課税の違い
「所得は10種類ある」といいましたが、税金を計算するうえで、所得はさらに2つに分けられます。
①「総合課税」:ひとまとめに総合して税率をかけて計算する
②「分離課税」:ほかの所得とは分離して計算する
まずは分離課税を除いて、総合課税をまとめましょう。
以下に総合課税される所得と分離課税される所得、またどの申告書を使えばいいかをまとめておりますので、目を通しておいてください。




赤字がでた場合は「損益通算」
10種類の中でも、特定の所得については「損益通算」ができます。
損益通算とは、赤字の金額を他の黒字の所得から差し引くことが出来るものです。
事業や不動産賃貸、マイホームなどの売却で赤字を出した方が行うものです。
ですから、関係のない方は「損益通算」を行う必要はありません。
所得の中には、「損益通算」ができるものと出来ないものがあります。
必要な方は以下を確認してください。


「損益通算」は、所得の種類によって計算の順序が異なることに注意してください。
なお、「損益通算」をしても赤字が残る場合や、災害などによって資産に受けた損失額のうち、その年に控除しきれない金額などは、翌年以降3年間にわたってその損失を繰り越せる場合があります。
「損益通算」の順序などは以下にまとめております。




確定申告の負担軽減「クラウド会計ソフト」
確定申告書作成のステップ1の解説が終わりました。
ここまでの解説を見て、「結構たいへんだなぁ」、「よくわからない」と感じられた方もいらっしゃるかと思います。
そういった方は1度「クラウド会計ソフト」を試してみてはどうでしょうか?
無料お試し期間のある「クラウド会計ソフト」がありますので、気軽に使用感などを体験していただけます。
こちらの記事でまとめておりますので、ご覧ください。




まとめ
申告書作成においてのステップ1について解説していきました。
①申告書作成の全体の流れを把握
大きく分けて4ステップになります。
②申告書のどこに記入すればいいか
ステップ1の内容を申告書のどこに記入していくかを確認。
③所得は10種類
ご自身の所得がどの所得に当てはまるか確認し、計算の仕方もわかるようにしましょう。
④総合税と分離課税
10種類の所得はさらに2つに分かれます。
使う申告書も変わってきますので、しっておきましょう。
⑤損益通算
赤字の金額を他の黒字の所得から差し引くことが出来るものを損益通算といいます。
特定の所得では損益通算ができますので関係のある方はチェック。
以上のことを解説しました。
今回のステップ1の内容を行えば、総所得金額を算出することができます。
総所得金額は、所得税の計算のベースになりますのでしっかり計算できるようにしておきましょう。
今後もステップ別に解説していきます。
すべてのステップが終わるころには、1人で申告書の作成ができるようになるでしょう。